北摂総合病院(高槻市)からの報告
[親切係」笑い顔で頑張る
「親切係」という担当者が常駐している病院があります。高槻市北柳川町にある医療法人仙養会・北摂総合病院です。 この病院では、職員の方が2か月交代で、「親切係」と書いたグリーンのバッジを胸につけて、患者さんや病院を訪れる人たちにサービスしています。
これは、財団法人「小さな親切」運動大阪本部の特別賛助会員でもある同病院理事長・木野 猛さんが「病院にとって患者さんはお客さんである。お客さんのために、何かサービス出来ることはないか」と考え、1977年(昭和52年)1月から始めました。
発案者の木野さんは「バッジをつけた時は、自然に自覚が高まり、意識的に親切の形を作ろうと努力します。そして、親切係を繰り返す間に、親切が心と身体に定着していきます」とおっしゃつています。
親切係のレポート
このほど、「親切係」で奮闘された6階病棟・看護師菊池朋子さん、4階病棟・看護師の河上真季さん、サービス科・ヘルパーの江口圭子さんからのレポートが届きましたので、紹介させていただきます。
ちょっとした気配りが必要
4階病棟 河上 真季

親切係になって、いざ親切にしょうと思うと何をすればいいのか悩んでしまう。改めて日常生活の中で、親切にしょうと思うと難しい気がするが、病院の中では、困っている人や病気で苦しんでいる人がいるため、そういった心配りが自然と必要になる。特に、直接患者様と接する私達は当然のことです。
親切とは、ただ手を貸すことに限らず、耳を傾ける、目線を合わせるなどの相手の立場に立って行動をすることだと考えます。常に、その人の状況に合わせて、なにか手助けすることがないか尋ねてみることも一つだと思う。
以前、腰痛のために座位になることも困難で、ADL(日常生活動作)の低下した患者様が入院してこられました。入院して初めての食事の際、テーブルにそのまま食事が置かれており、私は「食べられますか?介助しましょうか?」と食事介助をしました。そして、食事を終えた際に、空っぽになっていた吸い飲みにお茶を足して、手の届くところに置きました。その時、患者様から「ありがとう。よく気がついてくれて」と感謝の言葉を頂きました。看護師としては当然のことをしたのですが、そういった小さな配慮一つでも親切につながったのではないかと感じました。そして、その患者様は、次の日から私のことを名前で呼んでくださるようになりました。「看護師さん」ではなく「川上さん」と呼んでもらえたことで、私はとても嬉しく、これからも私なりのちょっとした気配りを忘れずにしたいと感じました。
親切とは大げさなものではなく、ちょっとした心配りだと思います。相手から「手伝って」といわれる前に、その人の状況や環境などを見渡し、自分から「手伝いましょうか?手助けすることはないですか?」と声を掛けられるようにしていきたいと思います。
介護や看護の環境作りを
6号病棟 菊池朋子
親切係になり、感じたことは、私たちの職業とは、人に親切にする事、思いやりを持って接するということは、当然のことであると頭の中では分かっていても、実際、業務に追われている中で、本当に身をもって接することができているのかと疑問に感じました。
今回、初めて親切係をさせていただき、バッジを付けていると、患者様の方から「親切係って何をするの?」と声を掛けて頂くことも多く、たくさんの患者様と話をする機会を持つことができました。その中でも、高齢者であり筋力の低下も著しい患者様が、ポータブルトイレを使用されていて、トイレに間に合わず、処理のお手伝いをしている際に、大変申し訳なさそうに、「忙しい時にすみません。でも、親切係さんがいてくれると安心です」という言葉を頂くことができ、親切係になってよかったと嬉しく思いました。
私たちは、患者様が気を使わずに、介護や看護をさせて頂ける環境作りをしなければならないと考えます。この親切係のバッジを付けているということ自体が環境作りの一つであるということが、今回の事例からも分かりました。
親切係になり、私は、受け持ちの病室の患者様以外でも、一人でも多くの患者様に声を掛けるように、廊下ですれ違ったときや時間に余裕がある時は、全病室を訪問するように努めました。本来、親切係でなくてもそうすべきであると思いますが、一人一人がこの気持ちを持つているだけでも、患者様には伝わると思います。また、患者様が安心していることができる病院になるのではないかと考えます。これからも、この気持ちを忘れずに努力していきたいと思います。
やさしい表情忘れずに努力
サービス科 江口 圭子
今回の親切係で、 私は笑顔とやさしい表情で接することを心がけました。私が勤務する病棟では、個室が多く、入院中の患者さんに一日中付き添いをされている方、朝・昼・夜の食事の介助をされて帰られる方、また夜だけの方など様々です。
ある朝、患者さんの食事のセットを手伝っておりますと、一人の男性患者さんが、いつになく笑顔が華やいでおられるように感じました。「今日は何か嬉しいことがあるのですか」と尋ねますと、うん、うんと首をたてに振ってニコニコ笑顔です。ちょうどその時、奥様が部屋に入ってこられたので、「笑顔でおまちですよ」と申しますと、「そうなのよ。主人が喜んでくれるこの笑顔が見られるから私、がんばって来られたのよ」そして、「ヘルパーさんに聞いて。今日退院するのよ。11時に介護タクシーで帰ったら、私は大変だけど、毎日病院通いするのもしんどかった」と本当に嬉しそうでした。「奥様も。お疲れさまでしたね」と申しますと、私の手を握って「ありがとう。私のように毎日来て、色々な事をお願いしていたらいやな顔をされても仕方がないと思うのに、皆さんがいつも優しく笑顔で応えて下さったので、毎日来ることが出来たのよ。本当にありがとう」と有り難い言葉をかけていただきました。親切係の私は、笑顔が一番気持ちのよい感情を持たせてくれるものだと、このご夫婦に改めて教えていただいた思いでした。
今後は、笑顔で挨拶はもちろん、表情、行動、言動のひとつひとつにやさしい気配りを忘れずに、日々努力していきたいと思います。